書かざるを得ない。
彼女との付き合いは5年。
中1の最後に入塾して、
その時点ですでに定期テストは400点。
賢いのかと思いきや、
努力の塊で、
むしろ努力だけしか取り柄が無くて、
勉強のセンスは無い。
ただ、
決して効率が良くない勉強を、
人の何倍も続けて、
毎日、
誰よりも長く続けて、
難関公立高校に合格した。
正直そこで終わりだと思った。
だって、
高校内容は、
彼女にとって難しすぎる。
到底彼女の処理能力では、
高校内容は太刀打ちできない。
そのまじめな性格で、
指定校で行ければいいかと思っていた。
しかし、
彼女は国公立を目指す。
明らかに足りていない。
ひらめきも、
センスも、
何もかも。
それでも、彼女はその歩みを止めなかった。
いや、正確に言うと止めたこともあった。
自分の能力の低さに呆れ、
諦めかけたことが何度かあった。
その度に、
誰にも頼ることなく、
自分の力で立ち上がってきた。
昨日、
国公立の発表があり、
志望していた大学に合格したという報せを受けた。
泣いていた。
彼女が泣いたのは、
5年間でもついぞ見たことが無い。
電話の向こうで、
何の恥じらいもなく、
大声で泣いていた。
「ありがとうございます」
を連呼していた。
彼女に何をしてやれたかは、
未だにわからない。
ただ、
そのありがとうで、
報われた気がした。
努力しかできない、
彼女の未来に、
幸あれ。